もう少し寒くなるといいのにね
春先が迫っていた君の誕生日は
バツが悪くて
プレゼントが少々 季節に合わなくて
絶対 笑われそうだから
もういっそさ、次の冬に! 恥ずかしいから!
寒くなるまで冬物と一緒に かたしちゃおう
夏の間 開けないで寝かせよう…!
次の冬には 少し遠くまで行こうよ たのしみにしてる
東京の冬は そんな寒くなくてつまらないから
ポケットに入れたカイロを つないだ手の中に置こう
もうちょっとだね 空が遠くに
北国のほうでは初冠雪だってさ
…ピンと来ないね
この間ようやく長袖着れたばかりなのに
やっと秋物出したんだ
夕方には寒くなるよ
半袖だけじゃ過ごせないでしょ
服を厚くするタイミングとか
私なしじゃわからない、って困らせる
…内緒にしてんだ ほんとは私ひどいんだ
こっそりたのしみにしてる
この時期 君が毎年決まったように風邪ひくこと
弱気な君が 見れること
年に一度の めそめそな君の 誕生日のこと
憶えているかな
じゃあ開けてみようか もうすぐ春だったあの日
君に渡した物
今年は少し遠くまで行こう
雪に舞う 冬咲きの桜を観に行こう
君にプレゼントした物だけどさ
右手のだけ私に貸して
寒いのは いつだって右だけ